最近、高齢者の患者さんに帯状疱疹にかかる方が多く、痛みが辛くて、もうそれだけで体力気力が奪われ、回復が遅くなります。我慢強い方も多く、水泡が結構ひどくなってから痛みに耐えきれず、医療機関に駆け込む方もいらっしゃる。もうそこまで我慢してしまうと、痛みが残って(帯状疱疹後神経痛と言います)しまう場合も多いとか。

以前は、一度かかれば一生免疫になると言われていましたが、実はそんなことは無く、何度もかかる場合があります。帯状疱疹にかかる原因は、幼い時にかかった水痘(水疱瘡)です。帯状疱疹も水痘(水疱瘡)も、原因は同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」というヘルペスの仲間のウイルスで、感染力が非常に高く、空気感染や、くしゃみや咳など飛沫感染、接触感染で周囲に広がっていきます。そして、感染したらほぼ全員が発症するというのです。

この「水痘・帯状疱疹ウイルス」は、症状が治まっても、感染した人(宿主)のカラダから消えることはなく、感覚神経節という神経に潜んで休眠しており(潜伏感染)、加齢や過労などで、免疫力が落ちている時に、再び活動を始めるという厄介なウイルス「帯状疱疹」として炎症を起こすのです。

帯状疱疹の原因と考えられること

①過労
②ストレス
③加齢(50代以降、60代70代がピーク)
④女性
⑤持病のある方(糖尿病・アトピー性皮膚炎・白血病・悪性腫瘍・膠原病など)⑥外傷
⑦放射線照射
⑧ステロイドや免疫抑制剤

合併症注意!
帯状疱疹の発症部位に気をつけてください。

耳・頬・下あご・首・口角・口中などに帯状疱疹の症状が出て、その後に耳に痛みが1週間続いたら「ラムゼイ・ハント症候群」の疑いがあります。この症状は、耳痛後にめまいや難聴、顔面神経麻痺や味覚障害などの合併症状です。

顔の片側が麻痺してゆがむ顔面神経麻痺は、目や口に麻痺が残り、機能的に障害が残るばかりか、心理的に大きなストレスを残します。

また、目の上や鼻、額に帯状疱疹が出た時も要注意です。目の充血や頭痛、倦怠感などの症状が出たら、すぐに眼科を受診して下さい。角膜炎やぶどう膜炎を起こす場合があるので、様子を見ることはせずに、帯状疱疹の治療を受けていることを眼科に伝えて治療を受けるようにしてください。

重症化しない為にも、早期発見と早期治療は必至ですし、合併症を防ぐためにも重要です。

最後にお伝えしたいことは、まず「帯状疱疹にかからない身体」にすることが一番大切だという事です。かかりやすい原因は先に項目を述べましたが、空気中に浮遊しているウイルスを避けようとしても土台無理な相談で、私たちはいろいろな菌やウイルスと共存している生き物です。自分自身の自己免疫力を上げて、取り込まないように日々を送ることが大切ということです。